「よくわかる障害年金シリーズ」第10回目はがんに関する障害年金ついてお話させていただきます。
がんなどの悪性新生物に関する障害認定基準は89ページと90ページに掲載されていますが、そこには「認定に当たっては組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像診断等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考とし、認定時の具体的な日常生活等を把握して、総合的に認定する。」とあります。
具体的には、重症度判定のどのステージのものか、再発や転移はしているのかどうか、手術によるがん切除の後の再発や転移予防の経過観察中なのか、それとも再発又は転移後の治療中なのかなどが初診日から1年6月経過後の状態で判断されます。
また、診断書に書かれる一般状態区分表の、(オ)『身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの』に該当するものは1級に、(エ)『身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの』又は(ウ)『歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり。軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの。』に該当するものは2級に、(ウ)又は(イ)『軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの、例えば、軽い家事、事務など』に該当するものは3級として認められるものであると例示されています。
がんではQOL(日常生活の質)が最後まで低下しない事が多く、病気によって生じる経済的な負担が重くなり、無理をすれば最後まで働いてしまわれるような方も多いとは思います。
また医師の中にはがんで障害年金を受給できるものとは考えた事がない方や、初めてがんでの障害年金に関する診断書を書かれる方も多くおられると思います。
がんでも働くことが出来る方が、がんを理由に退職させられるのは問題ですが、障害年金を貰っていただいて、高額になりがちな治療費の経済的な負担を少しでも軽減してもらいたいものです。